オレンジスイート精油(エッセンシャルオイル)の成分・効能・使い方まとめ
オレンジスイート精油はアロマでも人気上位の香り。身体と心にはどのような効果効能をもたらしてくれるのでしょうか。この記事では、オレンジスイートの効能や、おすすめの使い方を一挙に解説!爽やかな香りを生活に取り入れて、より一層、心地よい毎日を過ごしましょう。
2022年11月25日更新
記事の目次
[1] オレンジスイート(Citrus sinensis)の予備知識
オレンジスイートは学名を『Citrus sinensis(キトゥルス シネンシス)』と言います。まずは、そんなオレンジスイートの精油を詳しくご紹介。
オレンジスイートの歴史や香りの特徴、その成分、抽出方法もまとめていきます。
オレンジスイート、香りの特徴は?
オレンジスイート精油の香りはフレッシュな甘さが特徴です。まさにみずみずしいオレンジの香りといってもよいでしょう。
日本人にもなじみが深い香りですが、みかんの香りとは少し違った雰囲気を感じられます。
甘いなかにも、最後はキリっとすがすがしい印象を感じさせるので、男性からも人気が高い香りです。
そもそもオレンジには、スイート種とビター種(ダイダイ)があり、オレンジスイート精油はスイート種を原料としています。
ビターオレンジ(ダイダイ)はオレンジスイートと比べ、芳香成分の種類が多く、やや苦味を感じる点が特徴的。
ちなみに、ビターオレンジの花からはネロリ、葉からはプチグレンの精油を抽出できます。
始まりは黄金のりんご!?
歴史をさかのぼると、オレンジが最初に登場するのは「パリスの審判」というギリシャ神話の一挿話といわれています。
愛と美と性欲を司るギリシャ神話の女神「アフロディーテ」に黄金のりんごが捧げられる一幕があります。その黄金のりんごこそがオレンジではないかと言い伝えられているそうです。
現在ではオレンジといえば、ブラジルや地中海沿岸、アメリカ西海岸などが主な生産地ということで、南国のイメージが強いですよね。
しかし、オレンジの原産国はインドで、のちに中国へと渡りヨーロッパへと広まっていきました。学名にも中国から来たというような意味合いの「sinensis」が使われているのです。
南国のイメージが強いオレンジがインド原産で中国からやってきたとは驚きですね。
オレンジスイートは昔から「多産」や「無垢」の象徴とされてきました。そのため、幸せのシンボルとしても愛されています。
精油は圧縮法で丁寧に抽出
オレンジスイートの精油(エッセンシャルオイル)は果皮から抽出します。
ただし、柑橘系の果皮は熱にとても弱いのをご存じでしょうか。成分を維持するため、抽出には熱をかけない圧搾法が採用されています。
圧搾法とは遠心分離機やローラーを使って抽出する方法です。
他の抽出方法よりもデリケートな成分を損なわずに香りの成分が抽出できるといわれています。
このようにして抽出したオレンジスイート精油は、使うとフレッシュな香りがパッと広がっていきます。
しかし酸素と結びつきやすく、酸化しやすいという欠点が。
オレンジスイートのエッセンシャルオイルを使用していて、香りがやわらかく穏やかになってきたら酸化が進んでいる可能性があります。
新鮮でオレンジスイートならではの香りを楽しみたい方は、比較的早めに使い切るようにしましょう。
オレンジスイート精油の主成分は「リモネン」
オレンジスイートの主成分は、柑橘系のエッセンシャルオイルに多く含有されるリモネンです。リモネンは同じ柑橘系のレモンの香りをしています。
それ以外にデカナール、シトラール、リナロール、オクタナールといわれる成分も含まれていて、奥深い香りを実現。
このなかでもリナロールは、オレンジスイート以外にも多くのエッセンシャルオイルに含まれていて、スズランのような香りをしています。
[2] アロマテラピーでも使われるオレンジスイートの効能とは?
実際にアロマテラピーでも使われるオレンジスイート精油には、どのような効能が得られるのでしょうか?
実はオレンジスイートの香りには、小学生の計算ミスやストレス軽減に寄与する効果や、認知症に対する有用性が期待できるという研究結果があります。
お悩みの方も多い片頭痛を和らげる効果も期待できるといわれており、精神面でも身体面でもさまざまな効能があるようです。
ここからは、オレンジスイートの効果・効能を詳しく解説します。
精神面
オレンジスイートの精油は、心をストレスから解放し、前向きで元気にするといわれています。
完璧主義で仕事熱心な方におすすめの香りです。不安を取り除いて精神を高揚させる効果が期待できます。
自分に自信がなくなってしまったときにオレンジスイートの匂いをかぐと、やさしく背中を押してくれるような気分になれるでしょう。
パニック障害の方のケアにオレンジスイート精油が使われる臨床例も多くあります。
身体面
オレンジスイートの香りには、蠕動運動を活性化して消化液の分泌を促すといわれ、胃腸の問題全般に効果が期待できます。
ストレス性の胃痛や、下痢、食欲不振にもおすすめです。
血流促進作用も期待できるので、冷え性にお悩みの方やリハビリを受けている方にもおすすめされています。
肩こりや筋肉痛、足がだるいなどの血行不良による不調を感じる方は、オレンジスイート精油の香りを使ってみてはいかがでしょうか。
不眠を解消する効果
オレンジスイートは、少量でストレスを和らげてリラックスさせる効果が期待できます。そのため、ストレス性の不眠解消効果があるといわれています。
不安や緊張を解いてくれる香りのため、リラックスした気分になり、安眠へと導いてくれるでしょう。
寝付きが悪くて悩んでいるという方は、就寝前からベッドルームでオレンジスイートの香りを使って、リラックスできる空間を作ってみてください。
肌の調子を整える効果
オレンジスイート精油を始めとした柑橘系のエッセンシャルオイルには、血流促進作用が期待できます。
そのため老廃物が滞ってできるセルライト予防のケアにもよいのだそうです。
脂性肌でニキビや毛穴の広がりが気になるとき、収れん作用のある精油とブレンドして、スキンローションとして使用する方法もあります。
頭皮マッサージに使うと髪の毛根に適度な刺激となるため、健やかな頭皮環境を保つ効果も期待できます。
[3] オレンジスイート精油おすすめの使い方
さまざまな効能が期待できるオレンジスイート精油ですが、どのように香りを楽しめばいいのか気になりますよね。
そこでここからは、オレンジスイートを気軽に楽しめるおすすめの使い方を紹介します。
ゆったりとアロマバス
1人の時間をゆっくりと楽しめるバスタイム。そんな時間にオレンジスイート精油をプラスして、よりリラックスできる癒しのバスタイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。
使用方法は、以下の通りです。
1.オレンジスイート精油3~6滴とキャリアオイル(バスオイル・ホホバ油・ココナッツ油など)を少量ブレンドする
2.1が完全に混ざったら、湯船に入れ、よくかき混ぜて入浴する
お湯に浸かっている間、湯気とともにオレンジスイートの香りや芳香成分がバスルーム全体に広がります。
これにより、呼吸器はもちろん、肌や毛穴からも効率的に芳香成分を取り入れられるそうです。
ただし、精油は肌への刺激になる可能性もあるので、肌の弱い方や少しでも不安がある方は、1滴から始めてみるようにしましょう。
お部屋の中で芳香浴
リビングや寝室など、お部屋での時間もオレンジスイートの香りに包まれてみてはいかがでしょうか。
お部屋にアロマの香りを漂わせると、香りだけでなくそのエッセンシャルが持つ効能を感じながら過ごせます。
エッセンシャルオイルを使って香りを楽しむには、さまざまな方法があります。
■ディフューザー
インターネットなどで調べ、ディフューザーという製品を目にしたことがある方もいるでしょう。
ディフューザーはなかに精油を数滴入れてスイッチを入れるだけで使用できる製品です。
拡散力が強いものが多く、広いお部屋で使用する場合におすすめです。
デザインや種類が豊富ですので、自分が使いたいシーンに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
■アロマライト
電球の力で精油を温めて香りを放つアロマライトも、アロマディフューザーと同じく便利なツールです。
アロマライトは火を使わないため、万が一消し忘れてしまっても火災などの事故につながるリスクが少ないメリットがあります。
精油の使用量は製品によりますが、6畳の部屋で3〜6滴ほどが適量と言われています。
リビングはディフューザー、寝室はアロマライトなど、製品を使いわける方法もおすすめです。ぜひオレンジスイート精油でも試してみてください。
■マグカップやスプレーでも!
上記の2つよりも手軽なのがマグカップを使った方法です。
マグカップにお湯を入れて、そこにエッセンシャルオイルを1~2滴垂らすだけで、湯気と一緒に香りを拡散させられます。
これならディフューザーのように専用の製品を持っていなくても、手軽にアロマを楽しめます。
「オレンジスイートの精油があるからすぐに芳香浴したい!」という方はぜひトライしてみてください。
ちなみにオレンジスイート精油は、精製水やエタノールとブレンドしてスプレータイプのボトルに入れる方法もおすすめです。
ルームスプレーとしてはもちろん、お出かけ先でも簡単に香りを楽しめます。
マッサージでリラックス
オレンジスイート精油をもっとも効果的に感じやすいと言われている方法がアロママッサージです。
マッサージにアロマの効果をプラスすると、肌のメンテナンスはもちろん、よりリラックスしたマッサージタイムを楽しめます。
ただし、エッセンシャルオイルをマッサージに取り入れる場合は注意が必要です。
原液を肌に直接塗るのではなく、必ずキャリアオイルなどと混ぜて使用するようにしましょう。
ブレンドもおすすめ
オレンジスイートはほかの精油との相性がいいため、ブレンドしやすい特徴があります。
ブレンドすることでオレンジスイートの効果をさらに引き出せることもできます。
ただしオレンジスイート精油は揮発性がかなり高いため、香りを持続させたい場合はベースノートになる精油とのブレンドがおすすめです。
●オレンジスイート+コリアンダー
胃腸の不快感や胸やけなどの症状が気になる方におすすめ。コリアンダーにはオレンジスイートと同様に、胃の不調への効果が期待できます。
●オレンジスイート+ラベンダー+サンダルウッド
眠れない夜や緊張をほぐしたいときにおすすめ。ラベンダーとサンダルウッドの香りでリラックスした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
●オレンジスイート+スイートマジョラム+レモン
冷え性でお困りの方におすすめ。スイートマジョラムとレモンには、オレンジスイートと同じく身体を温める効果が期待できます。
●オレンジスイート+イランイラン
リラックスして過ごしたい夜におすすめ。イランイランには心を落ち着かせるだけでなく、喜びや幸福感の感情をもたらしてくれる効果も。
[4] オレンジスイート精油の注意点
オレンジスイートの精油(エッセンシャルオイル)を使うとき、いくつか注意点があるので解説します。
オレンジスイートはビターオレンジに比べて、紫外線に反応して肌トラブルが起こる「光毒性」は少ないといわれています。
しかし、反応が出るケースもゼロではありません。
マッサージなどでオレンジスイート精油を肌に塗布したあとは、紫外線を避けるようにしましょう。
次に使用時間についてです。長時間の使用は肌への刺激となる場合があります。
敏感肌の方など、刺激を受けやすい肌質の方は短い使用時間から様子を見るようにしてください。
そもそも精油は酸化するスピードがはやく、酸化すると香りが抜けてしまいます。開封後は半年以内で使い切るようにしましょう。
使用するときは基本的に希釈しての使用がおすすめです。特に妊娠中の方や小さな子どもがいる場合は、0.1~0.3%程度と超低濃度で希釈して使用するようにしてください。
[5] オレンジスイート精油を使って、さわやかでハッピーな毎日を
精油のパワーは素晴らしいものがあります。
そのなかでもオレンジスイート精油の香りには精神を落ち着かせる効果や、前向きな気持ちにする効果が期待できます。
ライフスタイルへの取り入れ方もさまざまです。ぜひ自分に合った方法で取り入れて、オレンジスイートの香りを楽しんでくださいね。
[参考サイト]
アロマサイエンス研究所「オレンジ・スイート精油がもたらす就眠前不安への生理的影響」
アロマサイエンス研究所「認知症に対するアロマテラピーの有用性」
アロマサイエンス研究所「片頭痛の発作回数が芳香浴で減少」
アロマサイエンス研究所「ペパーミント/オレンジ・スイート精油の香りが小学生の計算ミスとストレス軽減に寄与」
※アロマオイル(精油/エッセンシャルオイル)を使う際の注意点
アロマオイルは医薬品ではないため、「治療」できるものではありません。ここに掲載されている内容は精油の効果効能、心身の不調改善を保証するものではありません。予めご了承ください。高齢者、既往症のある方は半量の精油でお試しを。妊娠中の方は体調を考慮してください。使用に不安がある場合は医療機関にご相談することをおすすめいたします。実際にアロマの香りに癒されるという方はたくさんいます。自分の体の状態や気分に合わせて上手に取り入れてくださいね。